人物
愛されていることの確信は、
内気な人をも自然な状態にすることによって、
その人に多くの魅力を与える
小さな事にこだわるには、
人生はあまりにも短すぎる
家庭とは、
人がありのままの自分を、
示すことができる場所である
夫婦というものは、
夫婦を構成する二人のうち、
より低いほうの水準に合わせて暮らすものである
真に結ばれた夫婦にとっては、
若さの喪失ももはや不幸ではない。
ともに年老いることの楽しさが年老いることの辛さを忘れさせてくれる
本当に男らしい男とは、
傍らに女がいる場合にだけ存在する
物分りの良い夫は、
決して腹を立てることがない。
暴風雨の真っただ中にいる船乗りと同じように、
こういう夫は帆綱をゆるめるのである。
様子を見ている。
いずれそのうちに凪が来るだろうと思う
欲情は二つの皮膚の偶然の接触から生まれる
老年は男女間の友情に最も適した年代である。
というのは、
彼らはその年代になると、
男や女であることをやめてしまうからである
忘却なくして幸福はあり得ない
洒落っ気があるだけでは十分ではない。
持ちすぎないようにするのが肝心だ
人生は短い。
たとえ、
それを長いと思って過ごしている人たちにとっても
老いることは、
忙しい者には身に付ける暇のない悪い習慣だ
何をおいても決して恐れてはいけない。
あなたを退却させようとしている敵はまさにその瞬間、
あなたを恐れている
経験が唯一教えてくれることは、
経験は何も教えてくれないということだ
世渡りのためには、
誰も武装しているし、
またそれが必要なのだが、
固く結ばれた夫婦の間では鎖で身を固めることを要しない
絵画が視覚を、
音楽が聴覚を魅するように、
料理は味覚を虜にする
家庭は集団的エゴイズムである。
単に愛情のみならず、
防衛であり、
外部に対する同盟であるようなエゴイズムに堕落する
学者とは、
その観察と経験から、
現象相互の一定の関係について、
いろいろな仮定を引き出す人のことである
仕事は退屈と悪事と貧乏とを遠ざける
あらゆる変化をこらした酒池肉林からも、
生まれてくる感情上の生物は常に同一である。
すなわち屈辱と下卑と陰鬱な感情である
伝記は断じて小説化になってはならないが、
つねに小説的であるべきだ
アンドレ・モーロワ(Andr Maurois, 1885年7月26日 ノルマンディー地方エルブーフ Elbeuf - 1967年10月9日 ヌイイ=シュル=セーヌ)はフランスの小説家、伝記作者、評論家。本名はエミール・サロモン・ヴィレルム・エルゾグ(mile Salomon Wilhelm Herzog)で、ユダヤ系フランス人である。