１人の金持ちが存在するためには、少なくとも５００人の貧乏人がいなければならない。

経験ばかりにたよるのは消化力を考えずに食物ばかりにたよるものである。同時に又経験を徒らにしない能力ばかりにたよるのもやはり食物を考えずに消化力ばかりにたよるものである

もしある人が自分の不幸な出来事について話したら、そこには何か楽しんでいるものがあると思って差し支えない。なぜならば、本当に惨めさだけしかないとしたら、その人はそんなことを口にしないだろうから

目的に向かって一筋に進むのはいい。しかし、馬車馬のように脇目も振らずはあまり感心しない。目的を遂げても視野が狭く偏狭な人間になりがちで、人間関係が難しくなる。一筋に目指しても左右の道草を見るぐらいの余裕がほしい

人間は誰一人として最後まで栄えることも幸せであることもない。何故なら、苦労無く生まれついた者などはいないのだから。

いてもいなくてもいい人間をこの世に作り出すほど、神様は暇人じゃないし、馬鹿じゃない、愚かじゃない。

愛の舞台に上って馬鹿らしい役割を演じるのは、いつでも男だ

苦しみが性格を高潔にするというのは嘘だ。幸福は場合によってそうだが、苦しみはたいていは人間を弱くし、執念深くする

自己の内部以外に敗北はない。

伝記は断じて小説化になってはならないが、つねに小説的であるべきだ。

人間とロバとの違いについていろいろ観察がなされたものの、全く違いはないとのこと。が、それではロバが気の毒というものだ

もちろん、それが儚い希望だということはよくわかっている。だが、まったく冴えない六十男にも、希望は必要だ