「我」が強いものは、独創的な、いい手を発見することが多い。「我をすてろ」とよくいうが、「我」は勝負のうえでたいへん大切なものである。「我」があり、負けずぎらいがあり、そのうえに道理に目をひらかなくてはいけない

いよいよ詰む段階になると、つい二手も三手もひらいて勝ちたくなる。安全をねがうのだが、実は一手ちがいでいいという計算が成り立つほうが安全なのだ。何手もちがわせると、欲がからんで、まちがいがある

ギリギリのところまで自分を追い詰めて、そして開き直ると余裕が生まれてくる。その余裕が、自分の状態、相手の状態、物事の形勢を正しく判断させるから、大きな戦果をもたらす

いかなる局面においても、『自分が絶対に正しい』と思ってはならない

冗談をいわれては困る。チェスで取った駒をつかわんのこそ、捕虜の虐殺である。そこへ行くと日本の将棋は、捕虜を虚待も虐殺もしない。つねに全部の駒が生きておる。これは能力を尊重し、それぞれに働き場所を与えようという思想である。しかも、敵から味方に移ってきても、金は金、飛車なら飛車と、元の官位のままで仕事をさせる。これこそ本当の民主主義ではないか

一番の敵は自分自身である

盤上の最善手を真摯に追求することが結果的に勝ちにつながる

ミスには、それ以前に、誘発する他の原因がある

人生は将棋と同じで、読みの深い者が勝つ

「天才」それは言葉だ。しかし実際には何を意味する？もし私が勝てば私は天才だ。もし勝てなければ私は違う

嫉妬心、がありましたね。自分にないものが彼にはあると。私は終盤の寄せに絶対の自信があって逆転負けはあまり経験がなかったのですが、羽生さんには、こちらがリードしていても、読みにない手を指されてひっくり返されてしまう

知識や経験とはこのようなもので、身につけたときは得意に思っても、いつかはカビが生えて使い物にならなくなります