恋する男は、自分の愛する女性と一緒に見た国や光景に関して、並はずれた追憶を残している

人間がもし孤独を楽しむ演技をしなければ、率直におのれの内面と向き合うならば、その心は必ず、ある存在を求めているのだ。愛に絶望した人間は愛を裏切らぬ存在を求め、自分の悲しみを理解してくれることに望みを失った者は、真の理解者を心のどこかで探しているのだ

鳥はその鳴き声を真似した笛で捕らえられるが、人もまた、その人の意見に一番近い発言にとらわれる。

家族だから幸せなわけじゃない！野原家だから幸せなんだ！

偽の絵描きは、この木、この犬を見ない。木というもの、犬というものを見るだけだ。同じものは何ひとつないのに

私はこれまでの人生でずっと「私は愛されない人間なんだ」と思ってきたの。でも私の人生にはそれよりもっと悪いことがあったと、はじめて気がついたの。私自身、心から人を愛そうとしなかったのよ

生者は元来、しかも、ますます死者に支配されるものである

おまえの愛人の名をとなえて、憎しみと不正とを静かに告白せよ

愛とは、「この女は他の女とは違う」という幻想である。

人間というのは、むらっ気なばかりでなく偽善者で、しかも欲得には目のない偽善者だ。

我よく人を愛すれば、人また我を愛す。

いくら受け取っても十分でないもの、それは愛である。いくら与えても十分でないもの、それも愛である。