永(ながら)く恩顔を拝(はい)し奉(たてまつ)らず、骨肉同胞の儀すでに空(むな)しきに似たり、悲しきかな

棟梁が大工を使うには、その技術の上中下の程度を知り、あるいは床の間、あるいは戸・障子、あるいは敷居・鴨居、天井以下、それぞれの技量に応じて使い、腕の劣るものには床板を張る横木を張らせ、もっと悪いものには楔（くさび）を削らせるといったように、よく人を見分けて使えば、仕事もはかどり、手際がよいものである。はかどり、手際がよいというところ、何事も手抜きしないこと、使いどころを知ること、やる気の程度を知ること、励ますこと、限界を知ること、これらの事どもは棟梁の心得である。兵法の道理もこのようなものである

慈悲より出づる智勇は本ものなり、慈悲の為めに罰し、慈悲の為め働く故に、強く正しきこと限りなし

曇りなき心の月に先立てて浮き世の闇を照らしてぞ行く

槍・太刀・弓馬の諸芸を自から行なうのを、身分の低い者の仕事であるとして、自分で一度も行なわなかったならば、家来たちの武芸も進歩することがないだろう

必勝の戦法は敵を包囲するにあり、そのためにはいかに兵力僅少でも、二手に分けなければならぬ

晴信（信玄）の弓矢は欲のためではなく、民百姓を安楽にするためだと民に知らせれば、わしが軍を進めるのを待ち望むようになる

身を浅く思ひ、世を深く思ふ

主従や友達の間が不和になるのは、ワガママが原因だ

茶席に上も下もない この揚げ屋にもな

合戦の勝負　必ずしも大勢小勢に依らず　ただ士卒の志を一つにするとせざるとなり

真田は日本一の兵 いにしへよりの物語にも これなき由