(仲間の漫画家たちが、次々と有名になっていくのを横目で見て)四十二歳のときのその日も徹夜していた。退屈し、子どものころにやっていた遊びを思い出して懐中電灯を手のひらに当ててみた。すると、血の色がびっくりするほど赤く透けて見える。あんまりきれいで見とれてしまった。これほど絶望しているのに、体には赤い血が脈々と流れているんだ。心は元気がなくても、血は元気なんだなと、自分自身に励まされたように感じた。不意に「てのひらを太陽にすかしてみれば」というフレーズが頭に浮かび、それがひとつの歌詞にまとまった。この歌は、自分を励ます気持ちから生まれたのだ