我々の社会生活といふものは、自分さへ儲かれば他はどうなってもよいといふものではない。自由競争を基礎とする営利主義経済の組織に於ては、個別的利害の対立は止むを得ないにしても他を冒さずに自分の立つ道があればそれに越したことはなからう。5銭のキャラメルを4銭5厘で売る。それが百貨店である場合には、たとへキャラメルで損をしても、他の商品で儲けることが出来るから埋合せもつくが、それではキャラメル専門の小売店が助からない。・・・斯ういふ事は心ある百貨店の為すべき途でない。百貨店が価格の点で競争する場合はよろしく自分の手で、自分の工夫で、自分の設備で製造した商品に限らるべきである