名言大学

もし万一私の霊魂などが、
死後にまで生き残り、
地獄だか天国だかしらぬが、
また同じ後悔と汚辱にみちた一生をウロウロくりかえ・・

ぼくの方で、
彼ら(=悪人)の悪のグラマーを一応心得てさえいれば、
決して彼らは無軌道に、
下手な剣術使いのような手では打っ・・

友情とは、
相手の人間に対する9分の侮蔑と、
その侮蔑をもってしてすら、
なおかつ磨消し切れぬ残る1分に対するどうにもならぬ・・

友情というものがある。
一応常識では、
人間相互の深い尊敬によってのみ成立し、
永続するもののように説かれているが、
年来ぼく・・

およそ世の中に、
善意の善人ほど始末に困るものはないのである。
ぼくは善意、
純情の善人から、
思わぬ迷惑をかけられた苦い経験・・

聡明な悪人こそは地の塩であり、
世の宝である。

金がいらぬという男は怖ろしい。
名誉がいらぬという男も怖ろしい。
無私、
無欲、
滅私奉公などという人間にいたっては、
ぼくは逸・・

悪人というのは概して聡明な人間に決まっている。

真の友情とは、
相互間の正しい軽蔑の上においてこそ、
はじめて永続性をもつものではないのだろうか。

善意から起こる近所迷惑の最も悪い点は一にその無法さにある。
無文法にある。
警戒の手が利かぬのだ。

(善意から起こる近所迷惑のような)善人のゲームにはルールがない。
どこから飛んでくるかわからぬ一撃を、
絶えずぼくは恟々と・・

死後の生存などというものは、
なくて幸福、
あってくれてはただもう大迷惑というに尽きる。
(中略)要するに、
生命などというも・・

悪人における始末のよさは、
彼らのゲームにルールがあること、
したがって、
ルールにしたがって警戒をさえしていれば、
彼らはむ・・

私自身の願いといえば、
できることなら肉体をもった私の、
この世での生命が終わるとき、
霊魂もいっしょに消滅してくれるなら、
・・

(悪人には)悪というもの自体に、
なるほど現象的には無限の変化を示しているかもしらぬが、
本質的には自らにして基本的グラマ・・

多くの場合、
彼ら(=悪人)は彼らのグラマーが相手によっても心得られていると気づけば、
その相手に対しては仕掛けをしないの・・

善意、
純情の犯す悪ほど困ったものはない。
第一に退屈である。
さらに最もいけないのは、
彼らはただその動機が善意であるという・・

中野 好夫(なかの よしお、1903年(明治36年)8月2日 - 1985年(昭和60年)2月20日)は、日本の英文学者、評論家。英米文学翻訳者の泰斗であり、訳文の闊達さでも知られている。