工事を止めたために、第一に請負人が職を失ふ。又これに従事せる事務員、技術者、労働者及び工事の材料の生産者、その材料を取次ぐ商人等の総ては、節約又は繰延べられたるだけ職を失ふのである。これらの人々が職を失ふ事は、やがて購買力の減少となり、かやうな事が至る所に続出すれば、それに直接関係なき生産業者も、将来に於ける商品の需要の減退を慮つて、自分の現在雇傭せる労働者を解雇して、生産量を減少するやうになる。その結果は、一般の一大不景気を招来するに至るのである。かくのごとき事は国家経済の上から、よほど考慮を要する事柄である