共同体の内部で快適に暮らそうと思ったら、あらかじめそこにある価値観や常識を受け入れ、同化・適応するのがもっとも容易で確実な方法です。たとえ多少の理不尽さを感じていようとも、周囲の人と同じように、自分も何くわぬ顔で、それに倣うのが賢明な身の処し方だ、誰しもがそう思っています。そして、その思いはいつしか世界の大いなる矛盾と問題に接しても、「自分たちにはどうにもならない」というあきらめに変わり、ついには、裸の王様を見て、「なんと立派な服だ」と拍手を送ることにすら疑問を感じなくなっていく。小さな閉じられた共同体の内部に取り込まれてしまった人に改革を期待しても所詮無理なのです。