人物
私は月をながめ お前のことを考える 私はお前に逢いたい
どこまでも自尊心を謙虚に保って、
筧(かけい)の水のようにしたたりを溜めて行け。
娘たちよ、
また青年よ、
また五十すぎた私自身よ。
事がうまく運ばぬからといって決して腰を引くな。
どこまでも自尊心を謙虚に保・・
犠牲の大きさと(犠牲の)よろこびのおごそかさを知るものが、
ほんとうに(、
)たたかい生きてゆく民族の命をうたうことができ・・
未練が老醜のはじまりではないだろうか。
ない宝をもとめずにある宝を掘り出すことだ。
今日の問題を真面目に考えるという態度をもっていないならば、
明日のことは絶対に考えることができない。
知識は能力となる時に貴い。
弓づるはかけっ放しにしておくと弾力がなくなって役に立たなくなる。
かしこく思われる必要なし、
かしこくあることのみ必要なのだ。
人の先に立ってものをいったからには変節は許されない。
今までどんなことを書いてきたとしても、
転向で帳消しになってしまう。
目の前の利害にとらわれると、
根本をそこなうだけでなく、
目の前の利益をもそこなう。
中野 重治(なかの しげはる、1902年(明治35年)1月25日 - 1979年(昭和54年)8月24日)は、日本の小説家、詩人、評論家、政治家。代表作に小説『歌のわかれ』『むらぎも』『梨の花』『甲乙丙丁』、評論『斎藤茂吉ノオト』、詩集『中野重治詩集』など。詩人の中野鈴子は実妹、女優の原泉は妻。