名言大学

家を治(おさ)むるにも忍(にん)の字を用(もち)うべし。
忍とは耐えるなり。
堪忍するをいう。
驕(おごり)をおさえて欲を恣・・

勇者は外を焦らず良く定まってのち応ず。
外に気を動かして軽々しく躁(さわ)がしきは、
内に敵に応ずべき根(こん)なし。
人に・・

軍法は畏(おそ)るるをもって本とすべし、
畏るるとは暴勇を慎んで用心するをいうものなり。
臆病にはあらず。

酒を多く飲んで飯を少なく食う人は命短し。

善人に交われば、
その善を見ならい、
善言を聞き、
わが誤りを聞きて益多し。
悪友に交われば、
はやく悪に移りやすし。......

命短ければ天下四海の富を得ても益なし。
財の山を前につんでも用なし。
しかれば道に従い身を保ちて長命なるほど大なる福なし。

費(つい)え多き遊びをまず早く戒(いまし)むべし。
これを好めば、
その心必ず放逸(ほういつ)になる。
幼きより好めば、
その・・

志を立つるは大にして高きを欲し、
小にして低きを欲せず。

交わる人をえらぶべし。
古き諺に、
朱に交われば赤し。
墨に近づけば黒しといえるが如(ごと)し。

酒を少しく飲めば益多く、
多く飲めば損多し。

心は豊かにすべきであり、
苦しんでばかりいてはならない。
体は大いにこれを使い、
働かせるべきで、
休めすぎてはいけない。
自分・・

兵戦ははやりすぎて勇むを貴ばず、
静まりて堪(こら)えるを貴ぶ。
敵に勝つ道は堪(こら)え忍ぶにあり。
先に動く者は負け、
後・・

敵と戦うに勝ちすぎては、
敵とって返して強く戦うものなれば、
初めの勝ちにて早くやめるが後に禍(わざわい)なし。
大いに勝た・・

人に三愚あり。
我をほめ、
子をほめ、
妻をほむる、
皆是(これ)愛におぼるる也(なり)。

飲食は飢渇をやめんためなれば、
飢渇だにやみなば其上(そのうえ)にむさぼらず、
ほしいままにすべからず。

知慮ありて、
よく是非(ぜひ)を分別できる朋友を、
平生(へいぜい)より求めて、
常に親しく交わり、
大事あるとき、
その人の思・・

言語をつつしみて、
無用の言をはぶき、
言を少なくすべし。
多く言語すれば、
必ず気へりて、
また気のぼる。......

体気弱く、
飲食少なく、
常に病多くして、
短命ならんと思う人、
かえって長生きする人多し。
是(これ)弱気をおそれて、......

怒りと欲をこらえざれば、
善は行いがたし。

酒は微酔に飲み、
花は半開に見る。

喜怒の時、
耐えて事すべからず。
喜びもやみ、
怒りもやみ、
常の心になりて後、
事を行なうべし。......

病ある人、
養生の道をば、
かたく慎みて、
病をば、
憂い苦しむべからず。
憂い苦しめば、......

女に四行(しこう)あり。
一に婦徳、
二に婦言(ふげん)、
三に婦容、
四に婦功。
この四(し)は女のつとめ行うべきわざ也(なり・・

一切の病にみだりに薬を服すべからず。
病の災(わざわい)より薬の災が多し。

すべてに完璧を求めれば求めるほど、
心は満たされず不満にさいなまれる。
ここからいろいろな問題が起こってくるのだ。

知って行わざれば知らざるに同じ。

学んで道を知らざれば学ばざるに同じ。

およそ小児の教えは早くすべし。

命の長短は身の強弱によらず、
慎と不慎とによれり。

老後一日楽しまずして空しく過ごすは惜しむべし。
老後の一日、
千金にあたるべし。

人生まれて学ばざれば生まれざるに同じ。

養生の要は自ら欺くことをいましめて、
よく忍(しのぶ)にあり。

心は楽しむべし、
苦しむべからず。
身は労すべし、
やすめ過ごすべからず。
およそわが身を愛し過ごすべからず。

人の目は百里の遠きを見れども、
その背を見ず。
明鏡といえどもその裏を照らさず。

世俗は耳目口腹の欲をほしいままにするを楽とす。

人間の最も悲惨な状態、
それは侮辱されることに慣れていくことである。

朋友の間、
悪しきことならば面前に言うべし、
陰にて謗(そし)るべからず。
後ろめたく聞こゆ。
面前にて其(その)過(あやまち・・

天下のこと、
わが力に為し難きことはただ天に任せおくべし。
その心を苦しむは愚なり。

心を平らにし、
気を和やかにす。
これ身を養い、
徳を養うの工夫。

よろづの事はそのはじめを正しくするにあり。

わが身のあしきことを知らせ、
過ちをいさむる人は、
尊み、
親しむべし。

君子の財をみだりに用ひずして惜しむは、
人に益あることに財を用ひんが為也。

老後は、
若き時より、
月日の早きこと、
十倍なれば、
一日を十日とし、
十日を百日とし、......

百病は皆気より生ず。
病とは気病む也(なり)。
故(ゆえ)に養生の道は気を調(ととのう)るにあり。

酒は天の美禄(びろく)なり。
少し飲めば陽気を助け、
血気をやわらげ、
食気(くいけ)をめぐらし、
愁(うれい)を去り、
興を発・・

志を立つることは大にして高くすべし。
小にして低ければ、
小成に安(やす)んじて成就なりがたし。
天下第一等の人とならんと平・・

人の礼法あるは水の堤防あるが如し。
水に堤防あれば氾濫の害なく、
人に礼法あれば悪事生ぜず。

人、
学問なく、
道をしらざれば、
人の道たたず、
人、
とかく生まれ付きたるかひなし。......

朝早く送るは、
家の栄ゆる印なり。
遅く送る家は衰えるものなり。

身に奉ずること薄きを倹約とし、
人に施すこと薄きを吝嗇(りんしょく)とす。

貝原 益軒(かいばら えきけん、1630年12月17日(寛永7年11月14日) - 1714年10月5日(正徳4年8月27日))は、江戸時代の本草学者、儒学者。 50年間に多くの著述を残し、経学、医学、民俗、歴史、地理、教育などの分野で先駆者的業績を挙げた。