よく病気をして長い日時を「方舟(はこぶね)」にこもって過ごすようになってから、ノアは何にもまさって世の中をよく観察できたに相違ないことがわかった

愛と所有の陶酔とを混同してはならない。所有の陶酔は最悪の苦しみを伴う。

自衛はひとつの美徳、あらゆる正義の唯一の堡塁(ほうるい)。

世間は邪悪の香料を愛する

正義ほど偉大にして神聖な美徳はない。

すべてあらゆるいきものはみんな気のいい、かあいそうなものである。けっして憎んではならん

日本は民主主義になって「自由」とやらを得たが、その「自由」という言葉の空しさを知ったばかりでなく、人びとの心は「詩情」を失って乾ききってしまった。人間という生きものがもつ矛盾は、尽きる事を知らない。得たものがあれば、必ず失うものがある

自由な、調和のとれた、何気ない、殊に何気ないといふことは日常生活で一番望ましい気がしている

人生を明るいと思う時も暗いと思う時も私は決して人生をののしるまい

世の中は「不条理」に満ちている、「不条理」がたくさん集まってできているのだ、と認めること、その「不条理」が、自分にとって許せないものであるならば、「不条理」の中にいる人を糾弾するのではなく、「自分自身はそういう生き方をしない」と固く決意し直すこと

女性の優雅は容貌の美よりさらに有力である。

ロバは先祖を自慢しないし、子孫に希望を持たない。