名言大学

もう、
あの、
温かな中に戻れませんが、
私のぼけてゆく頭の中に、
たゆたゆと光を放っているのです

小説の世界で追憶してみる。
その試みが、
ここに収めた小説なのだ。
むろん作者の経験であろうはずはなく、
虚構にすぎないけれども、
どこかに自分が投影されている気がする

わたしは今頃になって、
自分の青春が何であったかを、
考えてみることがある

妻に先立たれたとき、
男にはどんな思いがあるのだろう。
辛いでしょうが、
こういうときほど酒を飲みましょう

これまで100件以上もの死刑判決に接し、
そのつど冷静でいられなくなりながらも傍聴に通うことを繰り返してきた私は、
豊田や広瀬は死刑にすべきじゃないと思うくせに麻原など特定の人物に関しては、
こいつだけは死刑にすべきと思ってしまうんです

先日死刑が確定した『北九州監禁殺人事件』の松永太の場合もやはり死刑は当然でしょうし、
そこがまた私の大いなる矛盾というか、
インチキなところなんですが、
死刑制度そのものには懐疑的でいながら死刑廃止とは言い切れないんです

当の豊田たちが『自分の罪は死刑に相応しい』と言っているわけですからね。
弁護人も困り果てていましたが、
私は彼らの顔を思い出すだけで涙が出る

豊田亨にしろ広瀬健一にしろ、
あんなに優秀で純粋な若者が、
なぜあんな尊師の言う無理難題をひたすら実行し、
極悪非道を働いたのかという思いがこみ上げて、
その虚しさは例えば宮崎勤に感じる虚しさとは全く異質です

事実は光を当てる角度によって、
まったく異なる表情をみせる

佐木 隆三(さき りゅうぞう、本名:小先 良三〈こさき りょうぞう〉、1937年〈昭和12年〉4月15日 - 2015年〈平成27年〉10月31日)は、日本の小説家、ノンフィクション作家で、北九州市立文学館名誉館長、九州国際大学元客員教授。当初は純文学作家として活動したが、直木賞受賞の『復讐するは我にあり』以降は犯罪ノンフィクションで人気を博し、後年は法廷のルポルタージュでも広く知られる。旧朝鮮咸鏡北道穏城郡生まれ。