サディズム的人間は、彼が支配していると感じている人間だけを極めてはっきりと「愛し」ている。妻でも、子でも、助手でも、給仕でも、道行く乞食でも、かれの支配の対象にたいして、かれは愛の感情を、いや感謝の感情さえ持っている。かれらの生活を支配するのは、彼らを愛しているからだと、彼は考えているかもわからない。事実は彼は彼らを支配しているから愛しているのだ。彼は物質的なもので、賞賛で、愛を保証することで、ウィットや光彩ある才気で、関心を示すことによって、他人を買収している。彼はあらゆるものを与えるかもわからない―――ただ一つの事をのぞいて、すなわち自由独立の権利をのぞいて