名言大学

とんぼが淋しい机にとまりに来てくれた

お月さんもたつた一つよ

ハンケチがまだ落ちて居る戻り道であつた

すぐ死ぬくせにうるさい蠅だ

こんなよい月を一人で見て寝る

女よ女よ年とるな

障子しめきつて淋しさをみたす

入れものが無い 両手で受ける

言ふ事があまり多くてだまつて居る

君去つて椅子のさびしき暖炉哉(かな)

墓地からもどつて来ても一人

なんにもない机の引き出しをあけて見る

働きに行く人ばかりの電車

節分の豆をだまつてたべて居る

咳をしても一人

尾崎 放哉(おざき ほうさい、本名:尾崎 秀雄〈おざき ひでお〉、1885年〈明治18年〉1月20日 - 1926年〈大正15年〉4月7日)は、日本の俳人。『層雲』の荻原井泉水に師事。種田山頭火らと並び、自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人である。鳥取県鳥取市出身。大正15年、4月7日(大学時代の恩師・穂積陳重と同日)に南郷庵で死去。死因は癒着性肋膜炎湿性咽喉カタル。