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「日中は業務を優先しているので、有志の勉強会に割ける時間は朝か夜になります。ときには朝と夜に勉強会が入ることもあります。内容は様々です。経営者同士で金融政策を話し合う。中国古典や歴史書を輪読する。国内外の専門家から環境問題の講義を受けるなどです。ただし、会社の経営に直結する話題はほとんどありません」

新浪剛史

「ローソンは、私が社長に就任した年に大幅な業績ダウンを経験しています。就任2年前、ローソンは株式上場に向け無理な出店を重ねていました。社長に就任した私は、売上至上主義はもうダメだと言い、不採算店の整理を断行しました。この年は約500店出店したものの、約600店を閉鎖。店舗純増減は史上初のことでした。激しい反発を受けましたが、以後、大規模な閉鎖はしていません」

新浪剛史

「ローソンには新しいものに積極的に取り組む企業文化があります。ローソンは、から揚げなどのフライヤーを使った店内調理や、チケット手配ができる情報端末を最初に始めたコンビニです。新規事業への挑戦にはリスクが伴いますが、自分たちの論理にしがみついているだけでは、社会の大きな流れから取り残されてしまいます」

新浪剛史

「コンビニの中心顧客は、長らく働き盛りの男性でした。忙しい彼らのために、すぐ食べられる高カロリーな商品が中心になっていました。しかし、高齢化を背景に忙しくない人が増えつつあります。また、どの世代でも一人暮らしが増え、個食化が進んでいます。ナチュラルローソンでは、都市部の女性に向け、美と健康にこだわった商品を多く展開しています。また、小分け野菜などを置いた生鮮コンビニのローソンストア100も始めました」

新浪剛史

「社内でも対話を大切にしています。毎年3月と9月に、札幌から福岡まで全国8か所でローソンセミナーを開いています。オーナー(加盟店オーナー)に新商品を説明するイベントですが、この機会を活かそうと、私が社長になってからは、社長が経営方針を直接伝える説明会の時間を設けました。毎回1時間、年間60回程度になります」

新浪剛史

「ローソンの経営は地方分権です。地方の支社が独自の判断で意思決定を行い、収益に責任を負っています。そのためには一人一人に経営方針を理解してもらう必要があります。対話にはコストがかかります。私もしんどい。しかし、地域を熟知する支社がフル稼働すれば、融通の利かない中央集権より、よっぽど効率的な組織になるのです」

新浪剛史

「現場の力を引き出すには、生身のコミュニケーションが欠かせません。テレビ会議のような「ハイテック」は便利ですが、成功の喜びを分かち合う「ハイタッチ」には敵いません。理屈だけで人は動きません。多忙を理由に社長室に閉じこもっているようでは、組織は動かせないでしょう」

新浪剛史

「スケジュール調整は秘書任せです。当初は休日もありましたが、いまはすべて埋めてもらっています。いわゆるオフはほぼありません。誰かと一緒に過ごすことで、「こりゃいいぞ!」とひらめく。勉強会も同じです。忙しいのですが、ちっとも苦ではありません。どのアポも仕事のエネルギーになる楽しい時間です」

新浪剛史

「私がこの業界に来たとき、数字のうえでは「顧客の平均滞在時間は約3分」と把握していました。ところが、自分の目で店を見てみると、必ずしも3分以内で帰ってしまうお客さんばかりではありません。中には長い時間滞留されているお客さんもいます。そうした方々には、従来のコンビニとは違うアプローチが有効ではないでしょうか。ひとつは店内放送です。全国のローソンには1日約900万人の来店があります。子会社のローソンエンターメディアでは、レコード会社と協業して、店内放送で新曲を宣伝するという事業を進めています」

新浪剛史