「いとしい人には 沢山の仇名をつけてあげよう 小動物やギリシャの神々 猛獣なんかになぞらえて 愛しあう夜には やさしい言葉を そっと呼びにゆこう 闇にまぎれて」
茨木のり子
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「いとしい人には 沢山の仇名をつけてあげよう 小動物やギリシャの神々 猛獣なんかになぞらえて 愛しあう夜には やさしい言葉を そっと呼びにゆこう 闇にまぎれて」
茨木のり子
「大人になるというのは すれっからしになることだと 思い込んでいた少女の頃、立居振舞の美しい 発音の正確な素敵な女のひとと会いました そのひとは私の背のびを見すかしたように、なにげない話に言いました。初々しさが大切なの。人に対しても世の中に対しても。人を人とも思わなくなったとき 堕落が始るのね 堕ちてゆくのを 隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました 私はどきんとし、そして深く悟りました」
茨木のり子
「人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ」
茨木のり子
「ひとりの人間の真摯な仕事は おもいもかけない遠いところで 小さな小さな渦巻きをつくる」
茨木のり子
「わたしが一番きれいだったとき わたしはとてもふしあわせ わたしはとてもとんちんかん わたしはめっぽうさびしかった だから決めた できれば長生きすることに 年とってから凄く美しい絵を描いた フランスのルオー爺さんのように ね」
茨木のり子
「一人でいるのは賑やかだ 誓って負け惜しみなんかじゃない 一人でいるとき淋しいやつが 二人寄ったら なお淋しい おおぜい寄ったなら だ だ だ だ だっと 堕落だな」
茨木のり子
「苛立つのを 近親のせいにはするな なにもかも下手だったのはわたくし」
茨木のり子
「わたしが一番きれいだったとき 誰もやさしい贈り物を捧げてはくれなかった 男たちは挙手の礼しか知らなくて きれいな眼差だけを残し皆(みな)発っていった」
茨木のり子
「一人でいるのは 賑やかだ 賑やかな賑やかな森だよ 夢がぱちぱち はぜてくる よからぬ思いも 湧いてくる エーデルワイスも 毒の茸も 一人でいるのは 賑やかだ 賑やかな賑やかな海だよ 水平線もかたむいて 荒れに荒れっちまう夜もある なぎの日生まれる馬鹿貝もある」
茨木のり子
「わたしが一番きれいだったとき わたしの国は戦争で負けた そんな馬鹿なことってあるものか ブラウスの腕をまくり 卑屈な町をのし歩いた」
茨木のり子
「死こそ常態 生はいとしき蜃気楼」
茨木のり子
「気難かしくなってきたのを友人のせいにはするなしなやかさを失ったのはどちらなのか」
茨木のり子