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私はこれまでいろいろなモノをこしらえて商売にしてきたが、たいてい軍とか役所とか放送局のもので与えられた仕様書によってつくったモノばかりだった。それで何か大衆に直結した商品をかねがねやってみたいと思っていた。大衆は製品の厳しい審判官であり、正しい評価をするものだと信じていたので、大衆商品は一番やりがいがあるような気がしていた

井深大

PCL(写真化学研究所)では本職の録音の研究もやったが、ネオンをつくってパリの博覧会に出品するなどかなり勝手なこともいろいろやった。日本のためになる仕事なら、直接会社の事業とは関係のない研究でも大目に見てくれた。私利私欲のためにすることはよくないが、新しい技術の発見は国家的にもプラスであり、人類の進歩のためにも不可欠の要素である。植村氏(植村泰二所長)がそうした深いものの見方ができる人であったことは私にとって極めて幸いであった

井深大

(トランジスタラジオを開発し、海外市場を開拓して大きな利益を得た当時を振り返っての発言)国内メーカーも1年か2年ほどのギャップで追いついてきた。かくて日本は世界最大のトランジスター製造国になったのは良いが、たちまち乱売がはじまり、トランジスターラジオの安値競争は世界的に有名になって値段はどんどん下落した。新しいマーケットを開拓する努力をせず、他人の築いたマーケットに割り込み、ただ値段を崩すだけしか能がない典型的な日本商法を嫌というほど知らされた

井深大