俗言のまゝに文をなすときは あるひは音調侏離(しゅり)に失し 或ひは其(その)氣韻の野(や)なるに失して いと雅びたる趣向さへ爲にいとひなびたるものとなりて 俚猥(りわい)の譏(そし)りを得ること多かり

坪内逍遥

共有

坪内逍遥の他の名言

此人情の奥を穿ちて、所謂賢人君子はさらなり。老若男女、善悪正邪の心の内幕をば洩す所なく描きいだして周密精到、人情を灼然として見えしむるを、我が小説家の務めとはするなり。よしや人情を写せばとて、其皮相のみを写したるものは、未だこれを真の小説といふべからず。其骨随を穿つに及びて、はじめて小説たるを見るなり
人間という動物には、外に現る外部の行為と内に蔵れたる思想と、二条の現象あるべき筈たり
凡そ形(フォーム)あれば茲に意(アイデア)あり
斯(し)かれば外面に打いだして、行ふ所はあくまで純正純良なりといえども、その行ひを成すに先きだち幾多劣情の心の中に勃発(ぼっぱつ)することなからずやは。その劣情と道理の力と心のうちにて相闘(あいたたか)ひ、道理劣情に勝つに及びて、はじめて善行をなすを得るなり
立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花
よしや人情を写せばとて、その皮相(ひそう)のみを写したるものは、いまだ之(こ)れを真の小説とはいふべからず。その骨髄(こつずい)を穿(うが)つに及び、はじめて小説の小説たるを見るなり
人情を灼然(しゃくぜん)として見えしむるを我が小説家の務めとはするなり
人情とはいかなるものをいふや。曰く、人情とは人間の情慾にて、所謂百八煩悩是れなり
形容を記するはなるべく詳細なるを要す。我が国の小説の如きは、従来細密なる挿絵をもてその形容を描きいだして、記文の足らざるをば補ふゆゑ、作者もおのづから之れに安んじ、景色形容(けしきありさま)を叙する事を間々怠る者尠(すくな)からねど、是れ甚だしき誤りなり
是れ泰西の国々にては、大人(たいじん)、学士といはるる人々、皆争つて稗史(はいし)を繙き、快楽(けらく)を求むる所以なりかし。わが国俗(くにうど)はいにしへより、小説をもて玩具(もてあそび)と見做しつ。作者もまた之れに甘んじ、敢て小説を改良して大人、学士を楽ましむる美術となさむと思ひし者なし

関連する名言

私は誘惑以外の何にでも抵抗できる

オスカー・ワイルド

真実が純粋であることは稀で、単純であることは決してない

オスカー・ワイルド

我々は皆どぶの中にいる。だが、その中には星を見上げている者もいる

オスカー・ワイルド

進歩は変化なしにはあり得ない。そして自分の考えを変えられない者は、何ひとつ変えられない

バーナード・ショー

話す前に考えなさい。考える前に読みなさい

フラン・レボウィッツ

科学者である以上、失敗は必ずついて回る。だからこそ、失敗の名人にならなければならない。

カタリン・カリコ

他人が下した決定にくよくよしないのが一番だ。私はいつもただ前を見て、自分が次にできることに全力を注ぐ。

カタリン・カリコ

自分に変えられることに集中しなければならない。論文や助成金が却下されたときも、問うべきはいつも「自分に何ができるか」であって、他人に何ができるかではない。

カタリン・カリコ

私はビジョナリー(未来を見通す人)ではない。集中して、粘り強くやり続ける——それが私にできることだ。

カタリン・カリコ

何より大切なのは、自分がやっていることを楽しむこと。楽しんでいれば、もっとやるようになり、やがてその道の専門家になる。

カタリン・カリコ

関連する人物