名言大学

苦難が大きすぎて、
自分ひとりの力で支え切れない場合には、
家族から身を隠して一人で泣きなさい。
そして、
苦悩を涙とともに洗い流したら、
頭をあげて胸を張り、......

現在は過去と未来との間に、
画した一線である。
この線の上に生活がなくては、
生活はどこにもないのである

一匹の人間が持っているだけの精力を、
一事に傾注すると、
実際、
不可能な事はなくなるかも知れない

人に言うべき事は、
最後まできちんと言うがよい。
全部は言いたくないことだったら、
むしろ初めから黙っていよ

己の感情は己の感情である。
己の思想も己の思想である。
天下に一人もそれを理解してくれなくたって、
己はそれに安じなくてはならない

世間の人は虎を、
性欲の虎を放し飼いにして、
どうかすると、
その背に乗って逃亡の谷に落ちる

みんなが誉めるのは、
おべっかである。
六割が誉めて四割がけなすのが人材である

日の光を籍りて照る大いなる月たらんよりは、
自ら光を放つ小さき燈火たれ

少壮時代に心の田地に卸(おろ)された種子は、
容易に根を断つことの出来ないものである

実に敵という敵の中で山の神ほど恐ろしい敵はない

善とは、
家畜の群れのような人間と去就を同じうする道にすぎない。
それを破ろうとするのは悪だ

富人(ふじん)が金を得れば、
悪業が増長する。
貧人(ひんじん)が金を得れば堕落の梯(はしご)を降って行く

打ち明け過ぐるも悪しく、
物隠すように見ゆるも悪しきなり

足ることを知ることこそが、
幸福である

一々のことばを、
はかりの皿に載せるような事をせずに、
なんでも言いたい事を言うのは、
われわれ青年の特権だね

武士はいざという時には飽食はしない。
しかしまた空腹で大切な事に取り掛かることもない

酒を傾けて酵母を啜(すす)るに至るべからず

女はどんな正直な女でも、
その時心に持っている事を隠して外(ほか)の事を言うのを、
男ほど苦にはしない

人の長を以て我が長を継がんと欲するなかれ

人の光を藉りて我が光を増さんと欲するなかれ

おれなんぞの顔は閲歴がだんだんに痕(こん)を刻み付けた顔で、
親に産み付けてもらった顔とは違う

僕は生まれながらの傍観者である。
どんな感興のわき上がった時も、
僕はそのうずまきに身を投じて、
心から楽しんだことがない。
僕は人生の活劇の舞台にいたことはあっても、
役らしい役をしたことがない

初対面の言語動作は人の運命を決すること多し

罵言は世間のために風俗を矯る利あるべく、
一身のために信用を長ずる益あるべし

心理学が思量から意思へ、
意思から衝動へ、
衝動からそれ以下への心的作用へと、
次第に深く穿っていく。
そして、
それが倫理を変化させる

学校というものを離れて職業にありつくと、
その職業を成し遂げてしまおうとする。
その先には生活があるとおもうのである。
そして、
その先には生活はないのである

小学校の門をくぐってからというものは、
一生懸命にこの学校時代を駆け抜けようとする。
その先には生活があると思うのである

一体、
日本人は生きるということを知っているのだろうか?

恋愛もなければ、
係恋もない。
いったいこんな閲歴が生活であろうか。
どうもそうは思われない。
真の充実した生活では確かにない

人間は遅疑しながら何かするときは、
その行為の動機を有り合わせの物に帰するものと見える

私は学殖なきを憂うる。
常識なきを憂えない。
天下は常識に富める人の多きに堪えない

森 外(もり おうがい、文久2年1月19日〉 - 1922年〈大正11年〉7月9日)は、日本の明治・大正期の小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医(軍医総監=陸軍中将相当)、官僚(高等官一等)。位階勲等は従二位・勲一等・功三級、医学博士、文学博士。本名は森 林太郎(もり りんたろう)。